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"BLACK SIGN × MORNINGSTAR クロスロード展" Episode 5/8 (弐)

いつも"BLACK SIGN Main Lodge"をご愛顧いただき誠にありがとうございます。






Main Lodgeにて行ったクロスロード展で作品を提供いただいた、


MORNINGSTAR山田氏「孤高の哲学者」による身の生き様を綴った物語を全8回に渡りご紹介させていただきます。




魂の籠った長文になりますが、是非ご一読ください。








Episode 5/8

月蝕と因果の軌道

(弐)










































何者でもない野辺の石ころが、ある時、命が一瞬の幻であることを知る。

それを永遠の光に変えるんだと、革に触れ、場を作り、自分の内に観た世界を体現しようとした。


まだ全てが不完全ながら、美学を貫く覚悟と信念だけは絶対的。表現者とはそういう者だと。


まだ無為自然という言葉も知らずに、ただ無為自然に生きようとした。美しいとはそういう事だと。


人為の及ばない絶対領域。魂を揺さぶるロマンの真髄は、然るべくして紡がれる因果の流れの物語にあった。


それは映画より映画。だから世界は面白いんだと。

それは普遍であり、いずれ消えるこの一瞬の命を替えるに値する唯一の墓標。


それは混沌の空に矢の如く放たれ、久遠の未来にまで燦然と輝く、星の道標となる。


それは見える者にだけ見える星。

聴こえる者にだけ聴こえる魂の叫び。


そして物語は始まった。


当てもなく、ただ心の向くまま道ゆく日々。

その先々で、偶然隣に座った人々に「職」を尋ねられる。

ただ美学に生きる野辺の石ころ。本物であれば、然るべくして天が与えるのが「職」ではないかと。

そんな旨を伝えると、詳しく聞きたいと言う、もの好きな人々が現れる。


MORNINGSTAR


そこは単なる売買の場ではなく、語らいの場。

何を是とし美とするのか、

ただ内なる哲学美学を交わすだけ。

人と時と場合に合わせ、伝わりそうな表現で、伝わりそうなところまで。


よく問われたのは、何故WEBを立ち上げないのか、宣伝をしないのか。


「それは、まだ「核」を文章化できないからです。かと言って、それを伝える為に始めた物作りが、物だけWEBで売るのは本末転倒。それまでは、検索しても出てこない知る人ぞ知る現代の秘境で在り続けたいと。


ではどうやって売るのか、それもよく聞かれることですが、これは単なる物作りの為の革ではなく、謂わば内なる「核」に生きる為に始めた物語です。

御伽噺ではなく、そんな者が、実在した物語を遺したいと。

この広い世界のどこかに、そんなものが存在して欲しいと、かつての自分が思ったように、その物語はきっと、後に生まれる石ころ達の魂を貫く、希望の光となるはず。

売れるかどうか、何を謀らずも、物だけでなく、者が伴っていれば、それは内奧から滲み、黙っていても、匂う者には匂う。

本物の匂いが。そして求められる。

また、人は本気で魂を揺さぶられた時、大事な誰かに自然と伝えてしまう。その熱い衝動も因果とするなら、本物であれば、大事な人から大事な人へ、その純粋な口伝という波紋は巡り巡る。それはいずれ、遥か「月」にも届くはず。当然、月が誰であるかも明かさずに。

作為は無用、無粋も無用。

ただ真っ直ぐ、ただ在るだけ。

それでこそ観測できるというものでしょう。

無から有は生まれるのか、石ころは星になれるのかを。そうであるなら、何を謀らずも、いずれ星と月の軌道が交わる時は訪れる。


それは月蝕の如き、必然の因果。

とも言えるのではないでしょうか。


明星と輝くか、流星と散るか。

本物であれば天が選ぶ。


自分の人生の相棒としたい物は、

どんな言葉やデザインよりも、

そんな道に生きた者が、生きた証でした。


それは、やり方ではなく、

在り方からしか生まれない。

だから、そう在り続ける。」


そこで生まれる魂と魂の共鳴。

それが「作」という形となり、互いの魂がそこに紡がれる。

作為は作為を呼び、人は人に冷めていく。

ロマンはロマンを呼び、人は人に熱くなれる。

それは大事な人から大事な人へと口伝で伝わり、その純粋な波紋は、思わぬような物語を展開し続けた。


そんな日々の中、訪ねてくれたとある哲学博士が、MORNINGSTARの表層を超え、その在り方に強い関心を示し、その根源に迫りたいと。


その問答は柔らかくも、かつてなく鋭いメスのように、何故に、何故にと、淡々と的確に、偏見なく純粋に、まるで内側を解体するように、その核心に深く迫り続ける。徐々に水が水蒸気に変容するように、見える形から見えない形へ、形而下(けいじか)から形而上へと移ろう。確かめるように、幾つもの入口から登り、そして水蒸気が雨となって降るかのように、長い長い時間を経て立ち戻ると、内側は丁寧に縫合された。


哲学者は一つの結論をくれた。


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