"BLACK SIGN × MORNINGSTAR クロスロード展" Episode 6/8
いつも"BLACK SIGN Main Lodge"をご愛顧いただき誠にありがとうございます。Main Lodgeにて行ったクロスロード展で作品を提供いただいた、MORNINGSTAR山田氏「孤高の哲学者」による身の生き様を綴った物語を全8回に渡りご紹介させていただきます。魂の籠った長文になりますが、是非ご一読ください。Episode 6/8星の暗喩岡本氏がMORNINGSTARの作に触れた時、直感を重んじる氏の琴線に先ず触れたのは、「革」と「糸」、その表情だった。デザインは無骨な米国の様相を感じさせながら、コードバンを想起させるような滑らかな色艶と、太過ぎず細過ぎず、引き締まったステッチの表情。無骨過ぎず、繊細過ぎない、この美しいバランスの妙。この奧に、BLACK SIGNと通ずる「何か」を感じる。事前に詳述したわけでもなく、それを捉える氏の心眼。そこに秘めたる「星の暗喩」を語った。———————————— MORNINGSTARの革の輝き。それは丁寧に丘染めを施した、所謂「茶芯」となる革。オイルを含ませ、馴染ませ、その表皮「銀面」を、一つ一つに力を込めて手磨きを施す。それにより野性味のあった銀面は、滑るように心地よい上品な手触りと、星の如く反射し、光沢を放つ。その力強い輝きの陰に、時折り覗く傷や皺は、生まれながらの貴族のものではなく、かつて有象無象から生え抜いた「過去」を匂わせる。MORNINGSTARの革は「牛」。それは革の世界で、極々ありふれた存在。無骨で、分厚く、過去の傷もあれば、生きた数だけ皺もある。それは、有象無象の野辺の石ころの如く。何処に「生」を受けようと、その「魂」に生まれも身分も関係ない。そこに掲げた絶対の美学は、甘辛酸苦、渋を越え淡々と磨かれ、深々と深まり、やがて時は満ち、内なる輝きは特異点を迎え、混沌を突き抜け、比類なき異彩が、世界へと解き放たれる。燦然と輝く「星」の如く。将に将たる「星」の如く。それを縫い合わせる「糸」。水は低きに流れ、人は易きに流れるように、糸もまた「撚り」が緩み、解けていく。糸、それは繊維の束を一本にねじり合わせる、即ち「撚る」ことで単一の繊維よりもその耐久性を獲得し、増していく。そんな糸の多くは、仕様上、手縫いで縫い進めるに連れ、締まっていた撚りが解けてしまう。一目一目の表情は、不揃いに緩む。それは、言われなければ気付かないような、僅かな差異。そのまま進めるのも悪くない。ただ、それでも一目一目、淡々と立ち止まる。縫い込む手前で均一に引き絞り、力強く締まったその密度は、血が通う筋繊維のように、生気を帯び、人格を帯び、比類なき品格を放つ。燦然と輝く「星」の如く。将に将たる「星」の如く。夜が明ける。世が明ける。
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